新卒1年目のエンジニアが内定者バイトのトレーナーになった話
先日、海木くんが内定者バイトを卒業しました。
この記事では、僕が内定者バイトのトレーナーを経験して考えたことを書きます。
結論だけ言うと彼が来たことに感謝。最高の内定者バイトだったと思っています。
サイバーエージェントの内定者バイトではトレーナーがつく仕組みがあり、今回海木くんのトレーナーは僕がつくことになりました。
本来ならば、入社4ヶ月の新卒社員がトレーナーになることはまずないでしょう。入社3年目あたりからトレーナーになるのが普通です。
でも、僕はトレーナーをやりたいと思いました。
いや、僕がトレーナーにならなければならないと
本気でそう思いました。それは僕しかCyberVにUnityエンジニアがいないということがありますが、それよりも僕がCyberVのUnityエンジニアチームを作って行きたいという気持ちが大きかったからです。
僕が内定者バイトのトレーナーをすることが、内定者バイトの子のためでもあり、会社のためになると思っていました。そして僕はこういう人を育てるコトがものすごく好きでした。
内定者バイトが決まる前の話
6月くらいに、とある内定者の子が見学に来ると聞いて僕は「もしかして内定者バイト志望の子かな?」とウキウキしていました。
その時僕は入社2ヶ月目でしたが、すでに「そろそろ業務に慣れたから、人を増やしてもっと大きな成果出せるようにしていきたい」と思い始めていた時期でした。
そこにやってきた青年が海木くんでした。
僕の対応スタイルは素を隠さないと決めていました。理由は素を隠して気に入られても困ると思ったからです。素を隠さず話してこの会社を気に入ってもらえたなら、気が合う子だと判断できると思いました。
結果、2時間くらいXRやVTuber、仕事のスタンスの話をしました。他の子会社のいいところも伝えつつ、自分の会社のメリット・デメリットを伝えました (自社のいいところだけを伝えたくなかった) 。
彼の印象はものすごく良く、ぜひ来て欲しいなと思いました。
その2ヶ月後くらいに、彼はCyberVで内定者バイトをすることを選んでくれました。とてもありがたかったです。
あとで話を聞くと、最初人事にCyberVへの内定者バイトを渋られたらしい (CyberVは立ち上げたばかりで受け入れ体制があるか確認できていなかった) のですが「イワケンさんの下で働きたい」ということで無理やり通したと聞いて笑ってしまいました。というのも、自分もCyberVの兵頭社長のところに行って「CyberVでやって行きたいです」と無理やり通してもらったので、同じだなと思いました。
こうして、8月頭から9月末まで、彼の面倒を見ることになりました。
初日に面談 バイトと人生の目標を聞く
内定者バイトが2ヶ月と決まっているので、2ヶ月間での目標を決める面談を最初に入れました。
僕から彼に伝えたことは
- 2ヶ月のゴールは自分が考えて形にしたアウトプットを世の中にリリースすること
- そのために最初の1ヶ月で職場の信頼を勝ち取ること
の2点伝えました。
1点目については「この機能は自分がリリースしたんだ!」と自信をもっていえるアウトプットを世に出す経験が内定者バイトにとって絶対プラスだと思ったから入れました。 2点目については、リリースを出すためには仕事が回って来なければならない→そのためには職場の人に信頼されてなければならない。ということから伝えました。
逆に彼に聞いたことは「人生で何を大切にしているか」という質問。彼は「テクノロジーの架け橋になること」と具体的に答えてくれました。この答えから、どういう仕事を振っていくか、どういう仕事のかかわらせ方をしていくかというのを組み立てていくことができました。
信頼を勝ち取る2つのマインドセット
1ヶ月で職場の信頼を勝ち取ると言われても、どう勝ち取るんやとなるので、僕は2つのマインドセットを最初に伝えました。
- 30分で見えるアウトプットをして相手に見せよ
- 仕事の責任範囲を意識して仕事せよ
30分で見える状態にして相手に見せよ
これは僕が最初の1ヶ月で意識していたことで、誰かに何かを依頼されたら30分後に見える状態にして相手に見せる。それは作業途中でも構わないです。見える状態というのはスクショや動画で見せるということです。
これは仕事を振る側の気持ちに立てばわかるのですが、初めて仕事を振る相手はどれくらいの力量かスピード感を持っているかわからないでしょう。そんなわからない対象の相手が依頼してすぐに「こんな感じですか?」と確認してくれるのは、依頼する側にとってとてもありがたいことだと思っています。それでその人の仕事の力量やスピード感もわかるし、何よりちゃんと報告してくれる人という印象がつきます。そういう人には次の仕事も振りやすくなるんですよね。それを繰り返すことで信頼を得ていくものだと思っています。
仕事の責任範囲を意識して仕事せよ
これは、仕事でモヤモヤしないためにも重要なマインドセットだと思っています。
例えば、あなたがクリエイターさんだとして、プランナーさんから「テッシュ箱の3Dモデルを作って欲しい」と依頼されるとします (目の前にティッシュ箱があったので)
プランナーさんは最終的に「テッシュ箱の3Dモデル」が欲しくて、どんな「テッシュ箱の3Dモデル」が欲しいかはプランナーさんの頭の中にあるケース。
どんな「テッシュ箱の3Dモデル」がいいかという方針を決めるのはプランナーさんの責任範囲であり、クリエイターさんの責任範囲ではないとします。
クリエイターの責任範囲は、3Dモデルを作ること、それに関連する技術の話を説明することとします。
こういうケースで良くないのは、クリエイター側が依頼を受けて、自分の責任範囲を超えて考えたり行動すること。
例えば
- テッシュの箱の色をどうするかプランナーさんに聞かず1人で悩む
- 勝手に妄想して、必要とされていない機能を実装する
など
プランナーさんが方向性を決める責任を持っているのに、勝手に悩んで無駄な時間を過ごしているのは非常にもったいない時間だと思っています。
なのでこういう時は「仕様詳しく教えてくれ~」と早急に伝えるか「ちょっと作ったんですけどこんなのでどうですか?」と先程の30分で見せるということをして、プランナーさんの中のイメージとのズレをなくしていく作業に入っていくのがいいと思います。
他にも
- テッシュ箱の3Dモデルを使用する方向性を批判する
というのも基本は辞めたほうがいいでしょう。プロデューサーなら別ですが。
ただ技術的な説明の話は、クリエイター側の責任範囲なのでしっかり主張していいと思っています。例えば
「テッシュ箱の3Dモデルを作る場合、$5のアセットを買うか、オリジナルで作ると勉強込みで2営業日くらいかかると思います。どうします?」という風に、プランナーさん側に選択を委ねます。
伝わりにくかったかもしれませんが、仕事の責任範囲を意識して仕事せよの説明でした。
1ヶ月後、内定者バイトの子にも仕事が振られるようになった
1ヶ月経ったらすでに職場に馴染んで、仕事を他の社員からも依頼されるようになってきました。
一緒に仕事した社員からはすっかり信頼されていました。もちろん本人の仕事振りがあってこそなのですが、トレーナーとして嬉しかったです。
社員を巻き込み大きなアウトプット
社員に信頼されていく中で、今度は内定者バイトの子が社員を巻き込んで1つのプロジェクトに取り組むといった動きも見れました。
こういう社員を巻き込む動きに火をつけるのもトレーナーの役目だと思いました (彼がそういう仕事の仕方を望んでいたので、エンジニアだけど人を動かす経験もしてもらいました)
結果そのプロジェクトは成功し、今とあるシステムにすでに組み込まれています。
卒業の3日前に成果発表会
内定者バイトの2ヶ月間で何をしたのか、何を学んだのか成果発表会をしてもらいました。
ちゃんと自分の言葉で発表できていてよかったと思いました。
技術的に取り組んでもらったこと
一言で言うと、VTuber配信のためのUnity周辺のエンジニアリングを色々やってもらいました。
Unityはもちろんガッツリやりましたが、Unity以外の知識や技術にも触れてもらいました (というか触れざるをえなかった)。
基本的なことなのですが、変数の命名やドキュメントの書き方、クラス設計、UniRxによるMVPパターン、など伝わればいいかと思いました。
休みの日はイベントいったりハッカソンしたり
全く強制はしなかったのですが、xR Tech Tokyoに一緒に行ったり、BIT-VALLEY2018にコンテンツ出すために一緒にVTuberを実装したりしました。
リアルイベントで初めてVTuberコンテンツ出した時に意識したこと|イワケン@AR好き|note
まとめ
内定者バイトの子に最高の体験を届けるために色々考えて行動した新卒1年目エンジニアのお話でした。
まあそれはさておき、海木くんには改めて感謝したいですね。今年1番のいい出会いだったかもしれないです。
彼がどこに配属されるかはまだわかりませんが、どの部署に配属されても応援していきたいです。