最適な方法は自分で見つけなければならないことを伝える
半年くらい前
休憩時に家庭教師の生徒にこんな質問をしたことがありました。
「
①ある最適な勉強スタイルが存在し、それが任意の受験生に対して有効である。
②任意の受験生に対して、ある最適な勉強スタイルが存在する。
この二つの命題が真か偽か答えてみて
」
論理と命題の復習をしつつ、受験の考え方を伝えるためにこの質問をしました。
厳密にどうかというのは置いといて、僕は①が偽、②が真だと思っています。
もし、最適な勉強スタイルが存在して、それが全受験生に適用可能だったら、全員志望校に合格できるはずです。しかし現実はそうではありません。
僕の考えは、それぞれの受験生に対して、その人にあった最適な勉強スタイルが存在するだろうという考えです。それを実行すれば志望校に合格できるだろうと思っています。
難しいのは、その人にとって最適な勉強スタイルというのは、その人にしかわからないということです。したがって、受験生が自ら最適な勉強スタイルを追求する必要があります。
だから、家庭教師の役割というのは、自分が思う最適な勉強スタイルを伝えることではなく、その受験生が最適な勉強スタイルを見つけるための支援をすることだと思っています。
そのためには、受験生に「最適な勉強スタイルは自分で見つけなければならない」といことを伝える必要があります。そのキッカケを作るために考えたのが先ほどの質問だったのです。
みなさんはどう思いますか?
生き方という道を開拓する面白さ
今日は「面白さ」という概念の捉え方という視点から、岩崎という人間を理解してもらおうという記事である。
なので、岩崎という人間に興味がない人にとってはこの記事は価値が薄いかもしれないことをご了承いただきたい。
生き方を開拓することに面白さを感じる
「面白い」という言葉はほとんどの人にとってポジティブな言葉だ。面白いモノに対して歓迎しない人はいないだろう。
しかし、何をもって「面白い」と感じるかは人によって違うだろう。しかも言語化しにくいから大変だ。
僕も何かを「面白い」と思って、行動し、意思決定している。
だが、僕はおそらく他の人とは違ったものに面白さを感じている。
しかも、その違いを今まで言語化できずにいた。
しかし最近になって「生き方という道を開拓することに面白さを感じる」という表現がしっくりことに気づき始めた。
生き方を開拓することの意義
「生き方を開拓」することの意義とは、他人を歩けるような道を作ることである。その先には人類への貢献があると思っている。今まで試されなかった方法や生き方を実践することで、成功すれば他の人がその方法を実践することができる。失敗しても、なぜ失敗したか分析すれば、役に立つ知識を提供することができる。
これは研究で新規性を求めることと近い感覚かもしれない。
例えば、プロジェクトを成功させるために、AとBという方法論があったとする。
Aは定例的なやり方で、その通りに実行すれば成功する。今まで何人もの人が使用してる方法。
BはAの方法に対して、もっとこうすればいいんじゃないかとオリジナルな部分を足した方法。自分の中ではうまくいくと思っているが、やってみないとわからない。
この場合、僕は必ずBの方法を選ぶ。なぜならAの方法は、方法論の開拓という意味では人類に貢献してないからである。成功すると分かってる方法で実行しても面白くない。それよりも、誰も使ってない方法を試した方が、人類に貢献できるし、個人的には面白い。
もちろん、闇雲に新しい方法を試すわけではない。ちゃんと成功するイメージや分析を行ってから実行する。新しい方法の実行はギャンブルではなく確認作業である。事前に頭の中で思考実験して、行動する時に本当に成功するのか確かめるという感覚なのである。
また、既存の成功手法を、ないがしろにしたり敵対視したりはしない。むしろ既存の成功手法を分析し理解することによって新しい手法が思いつくと思っている。
この「生き方を開拓する」という表現が最適解かどうかというのは、僕にもわからない。だけど一つの局所解であることは間違いない。
具体的にどんなケースがあったか
さて、ここからは具体的なケースについて述べる。これらは僕の実体験である。
皆さんも、自分ならどうするか考えてながら読んでほしい。
Question
ゆくゆくは難関大学へ行きたいあなた、高校選択は
①偏差値70の私立進学校
②偏差値50の公立高校の特別進学コース(設立1年目)
のどちらか
岩崎の答え ②
なぜなら①の私立進学校から難関大学に進む道は誰かが経験している道であり、ある程度成功することがわかっているから、その方法で成功したとしても人類への貢献にはならず面白くない。
②の公立高校は難関大学への実績がないため、そこから難関大学へ合格することは、少なくともその高校への大きな貢献になる。また、そういった人間が僕以外にいないとすれば、これは人類への貢献になるだろう (実際は僕と同じような選択を取った人はゼロではないので、人類への貢献になるかは微妙)
感想 これは僕に取って一番最初にして一番ぶっとんだ意思決定だっただろう。もちろん他にも公立高校を選んだ理由はあるのだが、最終的にこの決断を決定づけたのは、この自分の人生を「生き方を開拓する」という意味で面白くしたい考えだった。進学校から難関大学に進むというある程度成功が保証された道ではなく、誰も成し遂げていない道を歩いた方が、同じ結果であればこちらのほうが人生として面白い。
この決定に全く後悔はしていないし、むしろ自分にとって最適な選択だったと思っている。
最後に
「生き方を開拓する」ということに面白さを感じている限り、僕は既存の最短距離の道を歩こうとはしないだろう。
僕は、"もっと"最短距離な道を見つけ出し、実際に自ら歩き道を確かめていく人生を送る。その結果遠回りになったり失敗したりすることがあるかもしれないが、その時の経験は必ず次の機会にプラスになると思ってる。
タナカが選ぶ 中高生に人気なUnity作品BEST5
こんにちは、最近床屋に行ったのですが、予約シートの名前に「タナカ」と書きそうになってしまった岩崎です。 私は一年間ほぼ毎日Unityというゲームエンジンを使ってゲームを作り続けてきました。そしてその作品をLifeisTech!のキャンプやスクールで自己紹介の度に中高生に向けて見せ続けました。その中で中高生に見せて反応が良かった作品2016年9月verをタナカの独断と偏見で紹介したいと思います。
第5位 感情分析メガネ
第4位 スプラとうふ
第3位 MyポケモンGO
第2位 スカウター
第1位 VRジェットコースター
第5位 感情分析メガネ
MOVERIO BT-200(スマートメガネ)とUnityを組み合わせた作品。スマートメガネに搭載されているカメラで撮った画像から人間の表情を読み取り、感情を判断するというもの。怒りや幸せなど、8つの感情を判断できます。感情分析のAPIはMicrosoftのものを使用しました。
MOVERIO BT-200AV/BT-200 | 製品情報 | エプソン
Microsoft Cognitive Services - Emotion API
ポイント 最初過ごそう!と思うかもしれないですが、スマートメガネをWifiにつなぐ手間があるのと、APIの結果が瞬時に返ってこないという難点を持つので反応は薄め。人に見せる時は準備のスマートさと反応性の良さが大事だと強く感じました。
補足 MOVERIO BT-200は心臓部分はAndroid4.0なので、Unityからapkファイルを書き出せば動かすことができます。
第4位 スプラとうふ
あの、スプラ◯ゥーンに似てるような気がしますが気にしないでください。
通信対戦機能があるので、一緒にプレイすることで盛り上がることができます。初めてPhotonを使ったのはこの作品でした。 公開もしているので興味があったらプレイしてみてください。
Unityでスプラ◯ゥーン的なゲーム作ってみた (通信対戦できます) | ゆるふわUnity開発日記
ポイント 通信対戦じゃなくても、一緒に対戦できるゲームはやはり盛り上がりますよね。
第3位 MyポケモンGO
本家のポケモンGOは実はUnityで作られています。ということでちょこっと作ってみました。
最初はスマホ用に作ったのですが実はメガネバージョンもあります。これぞ本当のAR!
(この先にポケモンが見えます!)
ポイント メガネをつけてポケモンを見つけた時の感動とモンスターボールを投げる時の気持ちよさが良かったみたいです。まだバグが残っているので今後直していきたい。
第2位 スカウター
(画像引用 http://entamevr.com/dragonball-scouter)
またスマートメガネ作品です。ドラゴ◯ボールに出てくる戦闘力を計るやつがスカウターです。よく聞かれるのが「どうやって戦闘力を計算しているんですか?!」という質問なのですが、一般的に戦闘力を計算するのは非常に難しいようです。
ですので、今回は黒に近い色の服を着ている時に戦闘力が高くなるようなプログラムを組みました。(その時黒い服を着ていたので)
ポイント 実はこのスカウター、中高生だけでなく、筑波大学助教の落合先生にもプレイしていただきました。その時に「入力からの反応が一瞬で気持ちがいい」(多少言葉は違うかもしれませんが、こんなニュアンスの言葉)。 同じスマートメガネ作品の感情分析メガネより、こちらの方が人気が出たのは、この反応の速さだと思っています。
第1位 VRジェットコースター
第一位は圧倒的にVRジェットコースター!「これはヤバイ」「本当にすごい」という声を毎回いただきました。
作り方も公開しています。
UnityでVRジェットコースターを爆速で作る方法 - Qiita
この記事に加えて、Bluetoothイヤホンも準備しました。あとうちわと動く椅子もあるとベストです。
野球のバッティングから、指導者のあり方を考える ~型にはめるのは正しいのか~
今更ですがこのブログのタイトルは「もしドラ桜」といいます。
これは、岩崎夏海さんによる日本の小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の略の「もしドラ」と三田紀房さんによる日本の漫画「ドラゴン桜」を合わせたものです。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら - Wikipedia
僕の高校時代はまさしくこの2つの書籍の内容で説明することができます。
つまり、高校野球のマネージャーをしながら、奇跡の受験合格を目指していたのです。ただ一つ違うのは、僕は女子マネージャーではなく男子マネージャーだったということです。
今日の記事は、野球の話がメインです。僕が小学生4年生から高校3年生続けた野球の現場にいて思っていたこと、そして今思い返して気づいたことについて少し話したいと思います。
最初に申し上げますと、この記事の流れは、野球のバッティング指導を例に、従来の型にはめて指導することへの批判し、一人一人にあった方法を支援するスタイルが重要ではないかと話していきます。
これらの、野球の例というのは、私の体験談なので、現実にそのような指導者が存在したということになりますが、おそらく私が今まで接してきた指導者だけでなく、日本の野球の指導者のほとんどが今から話す型にはめるような指導法を行っているように予想しています。(違っていたらご指摘ください)
また、今回批判する形で、書いていきますが、今までお世話になった指導者たちの尊敬の念を失ったわけではありません。今でも感謝しています。僕自身は自分が指導する立場になった時に、今まで指導法の良いところは参考にし、悪いところは自分で考え改善していきたいという思いでこの記事を書くつもりです。
バッティングフォームの正解は存在するのか
(引用: https://www.sumitomokenki.co.jp/archive/baseball/)
野球といえば、ピッチャーのバッターの対決が醍醐味といえるでしょう。(もちろん、もっと細かいところも面白いポイントはたくさんありますよ!例えば三塁コーチャーとか)
なので、野球の練習の多くを占めるものの一つが、バッティングになります。バッティング練習を全くしない野球チームは無いでしょう。野球はボールをバットでうまくヒットを打てるチームの方が勝つ確率が高くなります。
ちなみに、皆さんは、バッターがヒットを打つ確率は何パーセントか知っていますか?
ヒットを打つ確率を計算したのを打率というのがですが、今セリーグの打率トップはヤクルトの山田哲人で34.8%らしいです。(2016年7月20日現在)
皆さん、この34.8%という数字をどう思うでしょうか?日本のトップクラスでこの数字なのです。低いと思いませんか?だってテニスで相手コートに入る確率が34.8% だったら絶対勝てません。
ここでいいたいのは、野球のバッティングは技術的に非常に難しいのです。
想像してみてください。プロのピッチャーは時速150kmのボールを投げてきます。だいたい0.5秒でボールがやってきます。しかもピッチャーは変化球を投げてきたり、遅い球を投げたりしてきます。
しかも、野球のバットはとても細く、しかも芯と呼ばれるよく飛ぶバットのポイントに当てないと基本的には遠くに飛びません。
このように、バッティングでヒットを打つのは、非常に精密な技術が必要だということがわかります。
なので、アマチュアの野球 (プロ野球でもそうだと思うのですが) では、指導者の役割として、選手のバッティングの技術を上げることが重要だということは間違いないでしょう。
ここで、一つ問題提起として、バッティングのやり方に絶対的な正しいやり方は存在するのかというのを上げたいと思います。
バッティングのやり方の考えるべき要素として、例えば「タイミングの取り方」「バットの軌道」「最初の構え方」などがあるのですが、それぞれに対して「この要素はこれが正しい!」という正解のやり方が存在するのか。というのを皆さんに考えていただきたのです。 (これを総合してバッティングフォームと呼ぶことにします)
(王選手の一本足打法)
(種田選手のガニマタ打法 http://ameblo.jp/raibu-live/entry-11791417174.html)
しかし、先ほどの打率の話からわかったバッティングの難しさ、それに対してプロ野球選手は一人ひとりバッティングフォームが違うことを見ると、バッティングフォームの正解は一つではないということは想像できると思います。
つまり、バッティングフォームの正解は人によって変わる、というのが僕の今の考えです。
考えてみると、当然一人ひとり体も心も違うわけですから、自分に合ったバッティングフォームを見つけていく姿勢が大事になるでしょう。
従来のバッティング指導
では、野球の指導者はどのようなバッティング指導をしていると皆さんは思いますか?
人によって多少は違うと思いますが、ひとことで言うと型にはめようとします。
例えば、少年野球の記憶をたどると「ダウンスイングだ!」「しっかり振りきれ!」「脇をしめろ!」「スタンスは真っ直ぐだ!」「最短距離にバットをだせ!」などなど、いわゆる野球の教科書に書いてある?基礎?を選手に伝えようとします。
さらに、試合になると、結果ではなく、型に合ったやり方でやっているかで評価しようとすることもあります。
例えば、三振して返ってきたら「ほら、ダウンスイングをしないから三振するんだ!」となるし、ヒットを打ったとしても、型にはまってなかったら「あいつの打ち方はみんな真似しないように。たまたま打ったんだ」みたいな会話が聞こえてきそうです。
型に合っているかどうか、もっというと「俺の教えた方法に合っているか」に過剰反応しているように思えます。
これでは、選手一人一人が自分に合ったバッティングを見つけるのは不可能でしょう。
型にはめた指導する理由は何か
従来の指導者がこのような指導をする理由を考えてみました。
- 自分も同じように型にはめられた指導を受けてきたから/そういう指導方法しか知らないから
- 選手に「指導者のおかげで技術が伸びました!」と思われたいから/感謝されたいから
- 自分のやり方を、みんなに当てはめられると思い込んでいるから
- 指導をしっかり行うことが指導者の責任だと思っているから
主にこの4つだと思っています。
なぜ、この4つだと言えるのかというと、実は自分も同じ経験を「受験指導」で行ったことがあるからです。
大学1年生のころ、まさしく自分は、自分の受験勉強方法が正しいと信じており、それをみんなにも適応できると思い込んでおり、生徒に感謝されたいとも思っていたのです。
それは、おそらく失敗でした。だから、現在「学び」や「指導の仕方」について深く考えるようになり、それを実践したり、発信していたりしているのです。
その受験指導の実践の様子は、この記事に書いてあるので、興味がある方は是非読んでみてください。
僕が思うに、今までの指導者の人たちも、実は迷い悩みながら指導していたのだと僕は思っています。
でも、どう指導すればいいかわからない、そんな状態で、試行錯誤の上、今のスタイルに行きついているのだと思っています。
そのことを一つフォローしておきたいです。(何様だという感じですが)
僕が自分自身の指導法の間違いに気づくことができ、修正しつつあるのは、プログラミング教育という(主にLifeisTech!)比較的新しい教育文化に触れることができたからだと思っています。おそらく野球の文化だけにいたら気づくことはできなかったでしょう。
といってもまだまだ発展途上なので、これからも追求していきたいです。
選手にとって指導者のあるべき姿ってなんだろう
では、どのようなスタンスで指導者は選手に接すればいいのでしょうか。
私が指導法について大変影響を受けたこの本を参考にして述べたいと思います。
www.kyouikutosho-shuppankai.com
この本の著者の田尻悟郎さんは、英語教師ですが、野球部の顧問でもありました。プロフェッショナル仕事の流儀では、野球部の指導方法の失敗を反省し英語の授業に活かすというシーンが描かれています。この本に書かれていることは本当に目からウロコです。指導者の立場であれば一回は読むことをオススメします。
この本での、教師の役割というのが
- 間違いを指摘する
- ヒントを与える
- 待つこと
と書いてあり、大変感銘を受けたので、これを野球に当てはめたいと思います。
間違いを指摘する
先ほど型にはめることを批判しましたが、間違っているやり方をしている場合は指摘すべきです。
極端な例では、バットの右手と左手の上下が逆だったら、明らかに間違いなので、それは指摘すべきでしょう。
高いレベルでは、胸を見せてしまうとダメなど、というところもあるようです。(なぜダメかは僕は説明できません)
どのラインまで間違っていると判断するかは、指導者の実力が問われると思います。
ヒントを与える
特に伸び悩んでいる選手に対して、問題解決のヒントや視点を与えることは指導者にとって重要な役割でしょう。
あくまでヒントなので、実行するのは選手次第です。
例えば、今年のイチロー選手は、去年よりバットを寝かせて構えることで、バットをそのままボールに対して出せるようになり、直球に対するヒット率が上がったようです。
しかし、選手によっては「バットの構えの角度」という視点がそもそもない場合もあります。
そんな選手に「バットの構えの角度」というヒントを与えることは、打率向上のヒントになりうるかもしれません。
指導者としては、理由が説明できるヒントの引き出しをどれだけもっているかが大事でしょう。
待つこと
実はこれが一番難しいのではないでしょうか。
選手が試行錯誤している時というのは、なかなか最初は結果がでないものだと思います。
そんな時に「やっぱりダメではないか。俺のやり方でやったほうがいい」という態度を取ると、選手のモチベーションはひどく下ってしまうし、せっかくの可能性を潰している可能性もあります。
ここは、選手を信頼すること、長い目で見て待つ姿勢が大事ではないのではないでしょうか。
まとめ、色々言ったけれど
今日の記事では、野球の選手の指導法という話をしたのですが、結局のところ僕も答えがわかっていません。これもバッティングフォームと同じように、その指導者や指導する場所によって属人的に正解が変わるもので、ずっと追求していかないといけないものだと思っています。
なので、僕が今日言った話は、正解ではなく、ただのヒントだと思っていて、みんなの役に立つかもしれないし、立たないかもしれない。
また、今日の話は、野球の話だけでなく、ほとんどの指導現場でも言えることかもしれません。皆様の問題解決のヒントになれば幸いです。
最後に、野球の指導に携わっている皆様へ
最後に、野球の指導の問題は、もっと多くの問題を抱えていることだと察しています。例えば、チームによっては選手がそもそもモチベーション低くて、試行錯誤するようなレベルではなかったり、金銭的な難しさがあったり、指導者にも上下関係があって自分のやりたい指導ができなかったり...チームによってたくさんが課題があり、単純に今日の話で解決できる話でないかもしれないというのも承知しているつもりです。なので、今日の話が「こうすれば野球の指導もうまくいくでしょ!」という軽い感じに伝わっていたのなら、僕の気持ちはそうではないということをここに書き記しておきたいです。この記事は、難しい現場で難しい問題を抱えながら指導している野球指導者達に敬意を持ちつつ、応援したい、頑張って欲しいという気持ちで書きました。そのことだけ、気に留めていただけるとありがたいです。
飯より学びを優先したくなる勉強会の設計 ~P2P型勉強会の提案~
ある日、電車で会った友達に「ブログ見ました!家庭教師の話熱かったです!」と言われて、僕の心も熱くなりました。その記事がこちら
こんにちは、岩崎です。今日は、この記事を超えるような熱い内容を書いていきたいと思います。
先日、Unityでサクッと通信対戦ゲーム!-Unity+Photon開発勉強会というイベントの講師を担当しました。
Unityの講師は今回で3回目で、1,2回目はLife is Tech!の大学生メンターになるための研修の講師でした。
今回のUnity勉強会の状況は
- 参加人数10人
- 教える内容:リアルタイム通信対戦の実装の仕方
- 時間:10時から18時まで
- 受講者レベル: 基礎はできているというレベルからハッカソン優勝者レベルまで
- 場所: ヒトクセ(素敵なオフィス)
と少人数での勉強会でした。それで後日勉強会のアンケート結果を見てみると...
5段階評価の平均で
- 満足度: 4.88
- 理解度: 4.33
- わかりやすさ: 4.55
とかなり高評価をいただいておりホッとしました。ありがとうございます。
しかし、僕がこの勉強会で受講者の前に立ち話した時間は全体8時間のうち30分しかありませんでした。そのうち実装について前で説明したのは3分だけです。それにもかかわらず、満足度も理解度もわかりやすさも高評価だった理由を分析し、それを書きたいと思います。
今回のキーワードはP2P型勉強会です。P2P型勉強会という名前は僕が勝手につけたものです。
この記事では、この勉強会を、どのような考えで、どのように実行し、どのような結果になったのか備忘録として書きたいと思います。そして、皆さんの何か視点を変えるキッカケになればなと思います。
また、今回教える立場の人間を「講師」と呼び、教わる立場の人間を「生徒」を呼ぶこととします。教わる側が大学生なのに「生徒」と呼ぶのは多少違和感ですがご了承ください。
P2P型勉強会とは
P2Pとは、ネットワーク上で対等な関係にある端末間を相互に直接接続し、データを送受信する通信方式。また、そのような方式を用いて通信するソフトウェアやシステムの総称である。(引用 P2Pとは|Peer to Peer|ピアツーピア - 意味/定義 : IT用語辞典)
ということで、元々はインターネットの通信方式の言葉で、勉強会や教育とは関係のないの言葉です。
今回わかりやすく説明するために、従来の授業スタイルと思われる勉強会を「クライアント・サーバー型」と勝手に名づけて説明したいと思います。
勉強会の基本的な進め方
左側は、講師が前に立ち、スライド等を使って説明しています。生徒は講師の説明を聞きながらメモを取ったり、作業を進めたりします。右側は、生徒が教材を手元に持っていて、自分のペースで進めています。講師は外から様子を見守ります。
質問対応や理解の確認をどう行うか
左側は、講師が質問に対応したり、また全体に向けて問題を出したりして理解の確認をします。右側は、生徒同士が質問したり理解を確認したりします。講師も生徒と対等な立場のつもりで、質問に対応したり、理解の確認をします。(生徒の中で一番知識がある人というイメージ)
特に2枚目にある質問対応のスタイルが、P2Pの通信と似ているのが、この名前をつけた理由です。
なぜP2P型勉強会を選んだのか
先ほどの2枚の写真を見ながら見て欲しいのですが、従来の方法、つまりクライアント・サーバー型勉強会スタイルで、プログラミングの勉強会を行うことに限界を感じていたからです。
僕が思う問題点は
- 全体でスピードを合わせなければならない。つまり遅い子に合わせなければならない
- よってスピードが早い子が暇になる
- 講師の全体への説明が、生徒全員にとって聞きたい情報とは限らない
- 生徒が増えると、質問への対応が大変になる
です。これらの問題点を解決しようと思って考えたのがP2P型勉強会です。
1,2番目の問題については、教材が手元にあるため、生徒は自分のスピードで進めることができます。
3番目の問題については、P2P型勉強会では、教材の演習問題によって考えさせるタイミングを作り、その後の他者との対話によって理解を深めてもらいます。ここでは双方向のコミュニケーションが行えているかというのが重要で、一方向のコミュニケーションでは、先生の説明が生徒にとって聞きたい情報かどうか判断できません。
4番目の問題については、P2P型勉強会では、生徒も教える側に回ります。そうすると、講師は1人に教えることで、全体に最終的には伝わるようになります。このようにすることで、講師は、その勉強会で最も進みが早い生徒の質問や、難しいクリティカルな質問に集中することができます。
(4番目の問題点は、通信の方のクライアント・サーバー型の通信の問題点と似ていますね。その問題を解決する方法が実は通信のP2P通信だったりします)
(当日使用したスライドから)
P2P型勉強会の課題
- 教材に高いクオリティが求められる
- 勉強会のルールや雰囲気作りに失敗が許されない
主にこの2つだと思っています。P2P型では、全体での説明を行わないので、教材のクオリティが命です。教材がわかりにくかったり、楽しめるものでないと、生徒が途中で折れてしまったり、飽きてしまったりします。
僕の場合は、いつも自分で教材を作っているのですが、昔予備校チューター時代に受験生向けに冊子を作ったり、サークルで本を出版したり、LifeisTech!でも中高生向けの教科書を作ったりした経験があったので、そんなに苦労しませんでした。
2つ目は、P2P型は生徒が主体となって動いてもらわないとうまくいかないので、勉強会のルールや雰囲気がとても重要になってきます。これに失敗すると、ただただ辛い勉強会になってしまいますこ記事では今回の勉強会で行ったことを、形式化してお伝えしますので、一例として参考になれば幸いです。
勉強会を行う前に考えていたこと、勉強会を終えて考えたこと
それでは、今回の勉強でどのように事前に考え、どのように実行し、どのような結果になったのか紹介します。
勉強会のおおまかな流れ
勉強会は、導入タイム・学びタイム・発表タイムに分けて僕は考えます。それぞれ重要なことが違います。
導入タイムは、自己紹介と勉強会のルール (グラウンドルールと呼ぶらしい)を生徒に共有します。
学びタイムは、生徒に教材とチェックシートを渡し、基本的には生徒の自由時間です。質問があれば丁寧に答えます。
発表タイムは、生徒の勉強会での作品を、周りの人に発表してもらいます。
それぞれ具体的にしたことと考えていたことを書いていきます。
導入タイム
導入タイムでは、前でスライドを見せながら説明しました。前で話すのは基本この時間だけです。
まず、想像して欲しいのが、生徒は最初、不安で緊張しているということです。避けたいパターンは学びタイムの時に「どういうノリでいったらいいかわからない」という状態と「知らない人が周りにいて、変な空気で作業を進める」という状態になることです。
これを解決するのが、導入タイムです。
僕はこのような順番で進めました。
- 講師の自己紹介
- 勉強会の全体の進め方とルールとどんなノリで行きたいかを伝える
- 生徒の自己紹介タイムをつくる
- チームを作ってもらい、チーム名を決めてもらう
重要なのは、自己紹介と勉強会のノリや全体像を最初にしっかり伝えることだと思っています。
自己紹介やチーム名決めは「知らない人が周りにいて不安/緊張」という状態を少しでも無くすのが目的です。そのためのキーワードとして自己開示と他者理解があります。これによって、人間は初対面同士でも安心してその場にいやすくなるそうです(元々心理学の言葉です http://yamazakitakashi.net/column/1039/)
自己紹介は自己開示が目的
自己紹介をなぜするのかといったら、その人がどんな人か知っている方が、人は安心するからです。なので、自己紹介タイムは必ず作りましょう。生徒の自己紹介タイムでは、こちらで自己紹介の型を準備しました。今回はAパターン、Bパターン自己紹介というのを使いました。
(実際に使ったスライド)
Aパターンでは、普通の自己紹介 (例えば、名前、出身、大学名、趣味など)をしてもらい、Bパターンでは、意外な一面や、実は私...のような話をしてもらいました。
Bパターン自己紹介によって、生徒により深い自己開示をしてもらいます。
チーム名決めで他の生徒との共通点を見つける
チームは3人一組になってもらいました。P2P型勉強会を考えるときに、対話の相手に困った時に大丈夫なように、チームを一応組んでいます。ここでチーム名を決めてもらうのですが「チームメンバーに共通したものをチーム名にしてください」というルールにします。5分間で決めてもらうのですが、決める過程で、お互いの趣味や好きなものをたくさん知ることができます。つまり自然と他者理解をすることを狙っています。
(チーム名決めの様子)
学びタイム
学びタイムでは、教材とチェックシートを渡します。教材にもたくさん考えるべきポイントがあるのですが、今回は割愛します。今回覚えておいて欲しいのは、教材には演習問題が4つほどあるということです。
基本的には、自由時間で、生徒にはチェックシートでやることを確認してもらいながら教材を進めてもらい、質問があったら対応するというスタイルでした。
P2P型勉強会の肝、チェックシートのルール
チェックシートというのは、実際に下のようなものを使いました。
重要な点が3つあって、1つ目はここまで全員クリアしようというラインを提示すること、2つ目は早く終わって応用がしたい人のためのチェック事項を準備すること、3つ目は、終わったかどうかチェックするのは、講師だけでなく、生徒の可能性もあるということです。
特に3つ目が今回のP2P型勉強会の肝でした。
これは、対話を大事にするスタイルを、いきなり自主的にやれ!と言っても、シャイな日本人には最初難しいと思ったので組み込みました。
一番早く最初の演習問題を終えた生徒は、講師にチェックをもらいに来ます。その時に、実際の実装を見てから「どのように実装しましたか?」「その実装の理由を答えてもらっていいですか?」と質問します。この対話が理解にとって重要だと思っています。それでOKだったら、チェックをし、その生徒にその生徒がチェック側になった時のオペレーションを伝えます。
生徒にもチェック担当になってもらうことで、講師がチェックする回数が減り、他の重要な質問に対応する時間が生まれます。また、生徒が生徒にチェックすることで、その時に発生する対話がまた理解を深めます。
(学びタイムの様子。生徒が対話をしながら進めている)
ポイント制の嬉しい誤算
チェックシートをよく見ると、ポイントというのが書いてあります。
実は最初、この勉強会では、ポイントを集めて一番多かった人には豪華賞品が...?という言い方をしました。いわゆる外発的動機付けというやつですね。しかし、最後、勉強会の終盤で、そろそろ打ち切らないと...という時に、ポイント集計してください!と伝えたのですが、ほとんどの人がすぐに行いませんでした。生徒は、ポイントよりも、目の前の学びを進めることの欲求の方が大きくなっていたのです。いわゆる内発的動機付けで学びを行っているのです。こちらとしては、一番嬉しい状態ですよね。生徒が自ら学びに対して積極的になっている状態でした。
飯より学び
また、もう一つ同じようなことがあって、勉強会の運営のヒラシマさんが「そろそろ、昼ごはんの時間にしましょうか」「みなさま、お昼ごはんの時間になりましたので、一旦出る準備をしてください」と呼びかけたところ、みんな教材を進めることに夢中になっていて、全く言うことを聞かないという状態になっていました(笑) 結局その45分後にみんなでご飯を買いに行くことになりました。
発表タイム
勉強会では、ただ勉強して終わりではなく、勉強した成果を発表する場も重要だと思っています。今回で言うと、Photonで作った作品を発表してもらいました。大事なのは、自分の作品を他者に認めてもらえたという経験だと思っています。
(発表タイム。オリジナルゲームの発表)
これは僕の経験談なのですが、特にプログラミングだと、自分がどれくらいできるのかとか、他の人に認めてもらえるかとかって自分で勉強しているだけだとわからない状態なんですね。それを勉強会で発表して、拍手してもらったり、フィードバックされる経験は、特に一番最初だった場合、すごく自信や今後のモチベーションになると思っています。
だから、ただ勉強するだけじゃなくて、発表して、フィードバックする時間は作りたいと思っていました。
今回の勉強会の感想
今回の勉強会で気づいたところは
- 講師が説明しなくても、教材と対話の力によって、生徒が最終的に高い理解力に達するのは可能だということ
- P2P型勉強会はどのレベルの生徒からも高く評価されうる方法だということ
- ちゃんと勉強会を設計すると、人は豪華賞品よりも、自らの学びを優先するということ
- 講師は、様々な質問に対し、生徒が満足する形で答える必要がある
です。今回僕自身も新しい発見もあり、充実した一日になりました。
今日考えたことは僕の経験を元に設計したところもありますが、
www.kyouikutosho-shuppankai.com
から学んだところも大きかったです。興味ある方はAmazonでポチって買って読んでみてください!
最後に、このような機会をくださった、TECH_SALONの獅々見さんと、素敵なオフィスを準備してくださったヒトクセさんには感謝致したいです。ありがとうございました!
「やりたいことがない」ではなく「何ができるかわかっていない」
美術の時間に「描きたいものがない」 図工の時間に「作りたいものがない」 といった経験はないだろうか
大学生になると 「就職したい会社がない」 「人生でやりたいことがない」 という悩みを抱えたりする。
この「やりたいことがない問題」を指導者の立場になった時に、どう考えるべきかというのが、今回のテーマである。
指導者の立場というのはどういうことか、具体的なケースをあげよう。
私は今、中高生の生徒にプログラミングを教えるバイトをしている。
生徒の最終的な目標は、オリジナルゲームを作ることである。
ここで生徒に「何か作りたいゲームはある?」と聞くと
「作りたいゲーム…ない」と答えられることがある。実は割とよくあることである。
この時に、あなたが指導者の立場だったら、その生徒に対してどう考える?
「本当に作りたいゲームがないんだな」と考える?
私は違うと思っている。
ここで私は2つの理由のパターンを考える。
- 世の中にどんなゲームがあるかの知識が乏しい
- プログラミングで何ができるかイメージができていない
である。 1つ目の問題に対して私は「来週の授業で面白いApple Storeのゲームをみんなの前で3つ紹介してもらいたいから、ゲームを調べてきて」といった課題の出し方で解決を狙う。
指導者が盲点になりがちなのは2つ目の問題である。
2つ目の問題に対して私は、自分が以前プログラミングで作ったゲームを3つくらい生徒に見せる時間を作るようにしてる。
例えば、生徒にオセロのゲームを見せたとする。
すると、将棋が好きな生徒から「じゃあ、じゃあ将棋も作れますか?!」と反応があったりする。こうやって生徒のやりたいことを内側から呼び起こすのである。
できるだけ生徒のアンテナに引っかかるように色んな種類のゲームを見せるも1つのポイントである。
結論をいうと「やりたいことがない」というのは、「本当はやりたいことが自分の内側に眠っているが、それを達成するイメージがない、または自分に自信がない」その状態が「やりたいことがない」という発言が生んでいる気がする。
そのことを頭に入れた上で、指導者としてどのように生徒と接していくべきか。私の今後の課題としていきたい。
受験指導バイトで普通の授業するのは辞めました ~自立した生徒へ育てる指導を目指して~
こんにちは、岩崎です。今年4月に東工大の大学院に進学致しました。今後ともよろしくお願い致します。
さて、先日Twitterでこのようなツイートをしたのですが…
「家庭教師や個別指導で、ただ90分のあいだに問題を4,5問解くような普通の授業をしてるようでは、元々受かる脳みそしてる生徒しか第一志望に受からない、という説」
これは僕が5年以上受験指導のアルバイトに携わっていて感じたことです。
このツイートの次の日くらいに、友達から「あのツイート共感したわ〜岩崎はどんな指導してるの?」という話になったので、今日はその話を書きたいと思います。
今日の記事は「生徒を自立させる指導方法」という話に発展します。もし同じ悩みを抱えている人や自分はこういう指導方法を行っているという人がいらっしゃいましたらコメントいただけるとありがたいです。
前提条件
改めて、あのツイートの背景というのは、
- 基本週に1回、90分 or 120分 の授業
- 授業でやることは先生と生徒の間で決める
- 生徒は高校生1人、先生は大学生
- 生徒は学校のレベルより高い大学(第一志望)を目指している
という個別指導の状況を想定しています。 ここでの「先生」は学校の先生ではなく、受験指導アルバイト大学生のことを指します。 「生徒は学校のレベルより高い大学(第一志望)を目指している」というのは、学校が受験指導の指導の環境として完結していない状況を指しています。
一部の超進学校では、受験指導が充実していて、その学校で言われたことをやっているだけで、東大に合格する力がつくそうです。しかし、だいたいの高校は学校の授業だけで第一志望に合格することが難しく、予備校に通ったり家庭教師を受けてたり、もしくは独学で勉強を進めたりします。
この記事で想定している生徒は後者の学校だけで受験勉強が完結しない生徒を想定しています。
ツイート内の「普通の授業」のイメージはいわゆる普通の授業スタイルです。問題の解き方を解説したり、解法テクニックや問題の背景知識を喋ったり、勉強法や息抜きの仕方の話をしたり。授業の目標としては生徒が理解したり知識を得ることだと思っています。
こういういわゆる「普通の授業スタイル」を高い質で行うことが先生に求められることは間違いないです。しかし、そのことだけを先生が一生懸命頑張っても生徒は合格出来ないのでは、というのが僕の主張です。
次の「元々受かる脳みそしてる生徒」。この表現は誤解を生んだかもしれません。受かる脳みそというのは、決して今の学力や知能のことを指しているのではありません。受験生として自立しているか、ということです。
つまり、自立している生徒は行きたい大学に合格する可能性が存在し、自立できていない生徒はほぼ行きたい大学に合格できない、というのが僕の主張です。ではどのように指導すれば生徒が自立できるようになるかというのが、この記事で述べたいことです。
自立している生徒は、先生の授業から知識や考え方を吸収し自分のものにしようとします。そして自ら考え工夫をし、自分に合った勉強スタイルを確立します。あくまで先生は補助的な存在であり、教材のコンテンツの一つにすぎないのです。
しかし、自立できていない生徒の場合、普通の授業スタイルを高い質で行ったとしても、そこそこしか成績はあがりません。成績があがったとしても第一志望に受かるのは相当難しいと思っています。これは某予備校で働いて色んな生徒を見て感じたことです。
こういった生徒の指導することの難しいのは、高い指導力を持った先生ほど、受験生時代に自立した受験勉強をしており、自立していない受験生の気持ちがわからないということです。
なので、優秀な先生ほど「俺の勉強法を叩きこめば成績が伸びる!」と最初は思っています。僕も最初はそうでした。そして、それでは元々自立している生徒しか伸びないことに気づきました。
また、生徒が自立していないことは、先生の責任ではなく、その生徒の家族の責任が一番大きいと僕は考えています。だから自立していない生徒を指導するのは難しいのです。なぜなら、本来その問題を解決できるのは家族の力だからです。また、先生側はそもそもどうしたら自立させられるかというノウハウを持っていないので、成績が上がらないとわかりつつ、自分は授業を全力でやるしかないというジレンマに陥ってしまうのです。
しかし、それでは寂しいと僕は思いました。この問題点に気づいた僕は「どうしたら生徒が自立できるのか」というのを考え実践してきました。まだ答えは出ていませんが、それに近い一つの答えはでてきたような気がします。今日はそのことを話させて頂きたいです。
自立できていない生徒とは
自立できていない生徒とはどんな生徒でしょうか。具体例をあげます。
- 授業はまじめに受けるが、次の授業まで何も勉強しない
- 宿題はやるが、普段それ以外の勉強はしない
- 明日からの1週間、何を勉強すればいいかわからない
- 勉強法を調べたり、効率のよい勉強を追求しようとしない
- 問題が解けない時に、人に聞くという解決方法しか思い浮かばない
こんな感じでしょうか。
問題点は授業外の時間にあります。 要するに授業中はまじめに受けるというのは当然でしょう。しかしそれは一週間の中でたったの2時間でしかありません。それよりも一週間の24時間×7日をどう過ごすのかの方が圧倒的に大事なのは明白です。
なので先生は、その授業も大事ですが、授業と次の授業の間の一週間をどう過ごさせるかというのを意識すべきです。結局その時間の使い方が成績の伸びに関係するのですから。
自立した生徒は、その一週間を有意義に過ごします。自立していない生徒はその一週間を無駄に過ごします。結果は明白です。
では、先生は生徒にどのようなアプローチをすれば、いいでしょうか。 どうすれば、生徒は一週間を有意義に過ごすような自立した生徒になってくれるでしょうか。
ここで逆に考えました。なぜ生徒は自立しないのか。 先ほど自立できない理由は家族にあるとしました。しかし、週に1回しか会わないアルバイト大学生が生徒を自立させる方法があるとしたら、それは革新的なのではないでしょうか。
今から、僕が考える生徒が自立できない理由を、段階が低い順に話して行きます。そしてそれに対する先生のすべき対応について書いていきます。項目は
- 受験勉強に後ろ向き
- 基礎力や前提知識がない
- パブリックな教材を選べていない
- 情報が落ちていることを知らない
- 自立する勇気がない、決定する勇気がない
と続きます。この中で特に言いたいのは後半の二つです。
生徒が自立しない理由
受験勉強に後ろ向き
これは自立以前の問題なのですが、 なぜ受験をしなければならないか納得していない。合格とか別にいいやと思っている。など
(引用 http://daily-info.xyz/archives/10.html)
こういう生徒と当たった時は、授業の前にしっかり話すべきです。 なぜ受験勉強するのかというところに生徒が納得していないと、絶対にモチベーションが上がらないからです。受験勉強を好きになれとはいっていません。立ち向かう覚悟があるのかということです。
その場合なぜ受験をしたくないのかという理由を聞くことが大事です。もしその理由が、勘違い、情報不足、自分ができないという思い込み、受験勉強への不安、などだったらしっかり話して、その原因を解決する方向に向かうべきです。
もし、しっかり話した上で、それでも受験勉強はしたくない、というのであれば、それはその子の人生の決定ですから、生徒の親とも相談して、今後生徒とどういうスタンスで関わっていくか決めていきましょう。
基礎力や前提知識がない
これも自立より前の話です。ですが、結構大事です。 自立しようにも、自分で勉強を進めるだけの基礎力がない。 高校生なのに、中学や小学校の知識が抜けているというのは実はよくあることです。それはしっかりと中学校の教科書に戻ってやり直すべきです。 これは先生と生徒の二人三脚で行くべきです。基礎力を自分で付けることは非常にエネルギーが必要です。まず一人では無理です。なので基礎力に関しては、先生主導で授業や宿題を出していくべきです。「自立」というワードは一旦忘れて、先生の方から生徒を引き上げてあげましょう。
目標は、生徒が参考書を自分で進められるほどの基礎力、前提知識を見につけることができる状態にすることです。
パブリックな教材を選べていない
受験勉強の全体像をなんとなくイメージ出来ているか、これは個人的には非常に重要だと思っています。イメージができていなければ自立はできないでしょう。
そのためには、受験生のメインの教材はパブリックなもの、例えば市販の参考書、問題集、受験サプリ...お金を払えば問題と解説がセットで入手できるものが良いです。生徒が一人で進められ、かつ勉強の目標が具体的に立てやすくなるというのが大事です。パブリックな教材を選ぶことは受験勉強を逆算的に計画を立てやすくします。
逆にパブリックでない教材というのは、先生が作るオリジナル教材です。
先生が作るオリジナル教材では、元々準備するのではなく、毎週毎週準備することを仮定しているのですが、いわゆる、問題と解説がどちら共パブリックでない状態です。それでは予習ができない、あとどれくらいあるのかわからない、いつ終わるのかイメージ出来ない、解説は先生に聞かないとわからない。
教材の質が悪いのではなく、受験生が受験勉強の全体像をイメージしにくいことが問題です。
もしかしたら、生徒や生徒の家族は先生の自作プリントを作ってくれたことに感動してくれるかもしれません。しかし、生徒の自立のためには避けたほうがいいでしょう。
しかし、これはメインの教材に関しては、つまり一番やりこまないといけない教材はパブリックな教材が良い、ということです。なので補助的な意味での教材という意味では先生が作るオリジナル教材でもOKだと思っています。
情報が落ちていることを知らない
これは実は今回2番目に言いたいことです。
(引用 http://chigai-allguide.com/%E6%8E%A2%E3%81%99%E3%81%A8%E6%8D%9C%E3%81%99/)
なぜ、自立を薦めるか、それは大学受験に関して言うと、自分で勉強を進めるための教材、解説書、勉強法、教材の選び方...と言った情報は人に聞かなくても本屋やネットで入手できるほど、情報がまとまっていて、充実しているからです。大学受験は比較的自立的に活動しやすい分野です。
自立するためには、例えば自分で勉強法を考えなければなりません。でも考えるというのは、生徒自身が一から考えて欲しいという意味ではありません。色々な勉強法を知りながら、どの勉強法がいいか吟味して、選択する、もしくは組み合わせてオリジナル化して欲しいということです。
大学受験の分野は、その「色々な勉強法」という情報を、本屋やネットで容易に入手できる状態なんです。つまり最悪先生に聞かなくても解決できます。
「勉強法」の他にも、覚えるべき知識をまとめた「単語帳」「資料集」、解くべき問題をまとめた「問題集」、理解するために詳しい解説が書かれた「参考書」、参考書の選び方が書かれた「参考書の参考書」、こういった情報は、大学受験の場合、非常によくまとめられており、充実しています。
ここで一つ前で紹介した「パブリックな教材」という概念が大事になってきます。「わからないことを先生に聞く」というのは理解のスピードとしては一番早いかもしれません。本を見るより、人に聞くほうが理解しやすいでしょう。しかし、先生とやり取りは一週間に120分しかできません。先生という教材はパブリックではないのです。だから、先生に聞かないと解決できない状態ではまずいです。ですから生徒がパブリックな教材で解決できる手段を持っていることが重要です。人に聞いては行けないという意味ではないですよ。
しかし、生徒は最初そのことを知りません。自分で物事を解決できるだけの情報を入手できることを知りません。先生は生徒はそのことを知らないということを認知するべきです。
だから、先生の役目というのは、その情報を入手可能であることを教えてあげることです。そしてどこらへんに良い情報が落ちているのか、情報に対してどういう視点で見るべきか、というのをアドバイスすることが先生の役目です。
先生に聞かないと解決できない状態から脱してあげることです。勉強は自分で進めることができる環境にあることを生徒に知らせてあげるのです。
さて、ここまで生徒が自立するための環境を整えることでした。 まず受験勉強に向かい合うこと、次に自立するために必要な基礎力を身につけること、そして自立するための教材や情報を入手できる環境にいることを気づかせること。これで生徒はいつでも自立できる状態です。
しかし、ここまで準備しても、生徒は自立しない場合があります。なぜでしょうか。それを次の項目で話します。
自立する勇気がない、決定する勇気がない
これがこの記事で一番言いたい主張です。
(引用 http://kansindo.mods.jp/blog/?p=10679)
自立するということは、自分の行動を自分で決定することが必要です。しかし、自立できていない生徒は、自分の行動をを自分で決定する勇気が足りないのです。自分で決定するというのは、自由なようで実はとても大変なことです。他人の言われたことをやる方が実は楽なのです。しかし、ずっと他人の言われたやり方でやっていると、自立する勇気が持てなくなります。
では、先生は生徒にどのように接するべきか、
生徒が自立できる準備ができたら、生徒が決定して行動するプロセスを、先生側からつくることです。
例えば、「来週までの宿題、どこからどこまで何を進めるべきか」生徒に決めさせて発言させます。その時に、生徒は判断基準に困ることもあります。その時は先生側から判断の基準や視点を提示してあげましょう。大事なのは、正解は「生徒が決めたこと」が正解だという姿勢です。そして、決定に至るまでの過程(なぜその決定にしたのかという理由)というのも、聞いてみましょう。
生徒が決定したら、その意志を尊重する姿勢が大事です。生徒を信頼しましょう。そして一週間後に、フィードバックします。 この時は、良かった良くないより、どの視点でフィードバックすべきかというのを伝えて、生徒にフィードバックしてもらいます。
この自分で考えて自分で決定して自分で行動するというプロセスを経験させ、それを尊重するという態度が、自立する勇気を得るために必要なことだと僕は思っています。
ダメなのは先生が「俺の受験生時代はこうだったから、君もそうしなさい」という押し付けるような態度です。
もし自分の経験を生徒に伝えたい場合は、その行動とその理由を「プレゼンする」という態度で僕はしています。
僕はこういう理由で次の一週間はこう過ごした方がいいと思うけど、生徒君が最後は決めていいよ。と理由をしっかり伝えることが大事です。そして最終判断は生徒にあるという姿勢が大事です。
宿題の他にも、参考書選びや勉強の進め方に関しても同様です。
自分の行動を自分で決定することって、最初は結構怖いことだと思うんです。でも何度か尊重されると「俺の決定って結構いい感じなのかも」と自分の決定に自信が持てるようになってきます。
自分の決定に自信を持てるようになると、自立へ少しずつ向かっていきます。「自分で考えて行動していいんだ」と気づくようになってきます。
先生としてするべきことは、生徒が自分で決定する機会を作ること、そしてその決定を尊重する姿勢を見せることです。
また、指導で実践して気づいたことなのですが、人間は自分で決めたことは、モチベーション高く行動しやすいようです。自立に向かうだけでなく、モチベーションを高める効果も期待できます。
まとめ
ここで、自立している生徒にとって僕が思う先生の役割というのを、まとめました。
- 知識を理解するために効率の良い方法の一つ
- 情報が落ちている場所や情報の判断基準を教えてくれる存在
- 生徒の考えを尊重してくれる存在
本気で第一志望に合格させようとしたら、こういう存在であるべきなのではないかと僕は信じて今受験指導アルバイトに向かい合っています。
この指導の考え方が正しいかどうかは、今の生徒が合格した時にご報告させていただきたいと思います。